「ストレス脳」 アンデシュ・ハンセン

 

すごく興味深い本だった。

 

最近昔に比べてメンタルの病気になる人が最近は増えていると感じる。

著者の国スエーデンでは8人に一人がうつの処方箋を受けているそうだ。

でも心配性の人の遺伝子が生き残って今に至る現状を考えると

心配性でもno wonderだし細かことに気を遣うのはありえる。

全ては進化の取捨選択の果てなのだ。

 

幸福感も消えて然るべき。さもないと感情は私たちを動機つける機能を果たせない。

例えば一度バナナを食べてその満足感が消えなければ食べ物をゲットしようと

思わなくなり食料がなければそのまま死ぬ。

脳は生き延びるという視点でしか物事を考えないというのだ。

 

パニック発作」についてもほんの数回がかつて命を救ったからこそ

脳はわずかでも疑いがあれば脅威となり得る危険に反応するように設定されているらしい。

 

脳は記憶を覚えておくべきものを選択していてそれは寝ている時に行われている。

脳は今日の出来事でどれを覚えておくか寝ている間に選択しそれは生き延びるために

必要だと思う記憶を優先して保存するらしい。

 

また呼吸は交感神経と副交感神経のバランスに影響を与えるらしい。吸い込むと交感神経

つまり「闘争か逃走か」の選択よりになる。息をすると心臓が少し早く打つので

アスリートが試合前に何度か素早く呼吸をして自分を奮い立たせるのは意味が

あるようだ。息を吐くと副交感神経が活発になり心臓の鼓動が少しゆっくりになる。

不安が迫ってくるのを感じたら数分間何度か深く落ち着いた呼吸を繰り返す、

そして吐く息が吸う息より長くなるように心がけるといいそうだ。

 

人類の歴史のほとんどの期間、ストレスというのは体にとって

「感染リスクが高まった」というシグナルだった。

しかも免疫系は体のエネルギーの15〜20%を消費するので常に活発に機能さえて

おくわけにはいかない。だからギアを入れる時を決めるためにストレスが「さあ、今だ」

というシグナルになるそうだ。

 

人類は狩猟時代が長かったためその時に生き残るのに相応しく適応している。

今の生活がすっかり変わってもそれは圧倒的に短い期間なので

それにはまだ適応していない。今のうつの原因は「孤独」と「運動不足」らしい。

大昔の生活では圧倒的に体を動かし、大人数で暮らしていたの。

当時の生活では大きなグループで狩をしたり農耕をしていたから

孤独とはすなわち食料に在り付けない恐れがあり生きていけない。

危険にあたったら体を動かさずじっとして敵を避ける。

時代が変わっても人類の記憶として残ってしまう。

うつというのは引きこもって敵から逃げるという意味があるようで

なるほどそれなら納得だ。

 

運動が「うつ」の予防に大きく貢献することをこの本も説いている。

運動をする人は不安が少ないらしい。

不安を予防するには心拍数を上げることが大切らしい。

心拍数が上がるのは体が次第に「大惨事が起きようとしている兆候ではない」ことを

学ぶ。そうすればコルチゾールのレベルが下がりエンドルフィンによる

心地よい気分が訪れるそうだ。

 

著者は幸せの定義についても書いている。

「ポジティブな体験」と「自分自身に対する深い洞察」の組み合わせだと。

人がこれが幸せと感じるのはゴールに到達した時ではなく自分の外側に広がっている

何かに一歩一歩近づいている時だそうだ。

つまりゴールではなく状況の一部を言うのだと。

幸せが生まれるのは人生で何が重要なのかを理解しそれに沿って行動した時だと。

 

とにかく最近読んだ本ではどれも運動が精神状態に大きく作用すると

書いてあったのでそうなのだろう。

色々理解してもうまく言葉にまとめられないが何となくわかった気がする。