「同調圧力のトリセツ」 鴻上尚史 中野信子

 

二人の対談だがとても興味深い物だった。

 

女の子は成績がいいことにインセンティブがないという話で

鴻上さんが小6の子供達を見ていると男女の能力差に驚くという話が出てくる。

女の子の能力を伸ばせないのは本当に残念というフェアな見方ができるのが

ジェンダーに肩の力が入らないでフラットに物事を捉えることができ

鴻上さんはすごいなと思う。

 

コミュニケーションが上手いというのはすぐにみんなと仲良くなれることではなく

揉めたときになんとかできる能力がある人という鴻上さんの言葉もハッとする。

そしてコミュニケーション能力の高い人の真似をすれば意外に簡単に

高めることができると中野さんもいう。

戯曲もこういう時はこういう言い方をするといいんだとか自分の気持ちを

こういう言葉で表せばいいんだとか言葉の見本になるという。

映画や演劇を見ることもそういった意味で勉強になる。

演劇をするということも違う立場に身を置き理解するという人間にとって

とても勉強になる体験なのだとわかる。

 

中野さんがアートについてその重要性について語っているのも興味深かった。

人間は脳を少しづつ巨大化させて生き延びてきたが最後の最後に巨大化した部分の

一番多くの領域を「美」が占めているという。

人間の容姿のように基準の変わりやすい「美」、美しい夕日や風景などの「美」

それ以外に自分の好みじゃないがみんながいいという「美」

この三番目の点をマーケティングやさらにはデザイナーが利用して権威を

作り美しいとかっこいいをうまく絶妙に処理して、服を着ている人を

権威つけしたり。

美は社会性とイコールで美の認知は社会や集団をスムーズに回し維持する。

自分たちの認知の限界を超えたものに対する畏怖から大規模な衝突を回避するという。

うまく私はまとめられないが美というのは心が豊かになるだけではなく

人類が衝突せずに生きていける助けになり、人間という種が長らえる。

「美」やアートの必要性がこんな視点で考えられというのは新しく感じる。

アートの大切な点は「自分と違う世界を見ている人がいる」と知ることでも

あるという。特にコンテンポラリーアートの重要な意味だそうだ。

 

「地頭の良さは約7割が遺伝し、それは母親から受け継がれる」という説に

聞いた男性たちがモヤっている。みんな母親はダメだと思ってる?