「やさしい訴え」 小川洋子

やさしい訴え

やさしい訴え


こちらも小川さんらしい美しい作品。


眼科の夫が浮気をしたのを機に、幼い頃に通った両親の山の別荘に
家出をするカリグラファーの瑠璃子。
別荘の近所にはチェンバロ工の新田と弟子の薫が住んでおり
何かと彼女の世話も焼いてくれた。
美しいチェンバロを静かに作り続ける二人だったが
いつでも弾いてくれるのは薫だけ。
以前はピアノを作っていた新田は今誰の前でも楽器を演奏できなくなっていた。


いつしか強く新田に惹かれる瑠璃子の前に、薫の絶対的な
存在感が気になり始め・・


美しいチェンバロの音色がずっと流れているような小説だった。