「陰陽師 鉄輪」 夢枕獏

陰陽師 鉄輪
美しい挿絵の入った陰陽師絵物語集、今回は「鉄輪」。


貴船の宮に仕えるものが、丑の刻参りを続ける女をやめさせようとある夜出ていき、「願いがかなえられた」と嘘を伝えに行く。「身には赤き衣を裁ち着、顔には丹を塗り、髪には鉄輪を戴き、三つの輪に火を灯し、怒る心を持つならば、すなわし鬼神となるべし」と。


女は喜び、恨んでいる元恋人藤原為良の元に出かける。そこには為良に頼まれて清明と博雅が。女はあろうことか、人でも鬼でもない、生成という恐ろしい魔物になってしまった。


博雅は以前、為良が持っている素晴らしい笛を借りて毎夜堀川あたりをそぞろ歩きながら演奏していたことがある。それをお忍びで聞きにきた女車があり、自分の名は名乗れないが、この笛の音は一生忘れませんと言い残し去っていった。この女こそが生成となった姫だったのだ。


最後は哀しいながらも納得の終わりが待っているのだが・・・


ふんだんに挿絵があって、いっそう幻想的な雰囲気を盛り上げてくれて楽しい。もっとこのシリーズ続けて欲しい。妖説源氏物語シリーズでもこんなのやってくれないかしら?