「海の仙人」絲山秋子

海の仙人
春の晴れた日の穏やかな海のような物語だ。
宝くじにあたり会社を辞め、アパート経営で生活を立てる主人公は海辺に住み仙人のように過ごしている。そこに突然訪れるファンタジーは神様の下っ端のような存在。彼はなかなか偉そうで、でもたいしたことができないところがいい。近親相姦の過去からセックスができなくなっている主人公とキャリアウーマンの恋人。主人公を慕い続ける前の会社の同僚が繰り広げる物語。最後は意外な形で恋人との別れが待っているのだが、その後主人公にも意外な結末が待っていた。
穏やかに怖いことが進んでいく。
でも希望のない終わりではないのが救いだ。