「袋小路の男」絲山秋子ISBN:4062126184:image

自信満々で皮肉屋っぽい袋小路に住む男と、彼に惹かれ振り回されながらも離れられない日向子の物語。彼は作家を目指していて一度賞を取るが、その後は泣かず飛ばず。意外に神経質だったり、自信がなくて自己嫌悪に陥ったりしている。自分は彼女の「恋人」にはならないくせに、彼女に恋人ができると頻繁に電話をかけてきて、別れるとまたほったらかし。
でも付かず離れずの関係がなんだかいい。

あなたが私の車に乗ると、とてもいい匂いがした。嗅いでいることが恥ずかしくて煙草をひっきりなしに吸った。あなたは優しくて、眠そうで、何百回と会っているのに今日が一番好きだと思った。

彼女が彼をいとおしく思う描写もうまいと思った。眠そうな男の人ってなんだか色っぽいのよね〜。