「カマチョップ」

下北沢には初めて行ったが、渋谷からはすぐだった。
劇場も駅からは思いのほか近くかった。


野球の最中に雷に打たれて死んだカマとチョップの二人は
現在幽霊として地上にいる。極悪人でも善人でもない中途半端な人は
査定により天国行きか地獄行きか決まる。恵比寿という死神が
彼らの監視役になっており、幽霊としてやってはいけない
注意事項(人間に触ってはいけないなど)を破ると減点していき、
10点減点で地獄行きが決まる。


そんなある日恵比寿にあるおばさんの監視を頼まれるふたり。
九州からわざわざ出てきたおばさんは、連絡の取れなくなった
息子を探しにやってきたのだが、借金をしていて行方が知れない。
以前勤めていた仕事もとっくにやめており糸口もなかなかつかめない。
日々足を棒にして探し続ける彼女に同情し手助けしたいと思う
ふたりだったが、恵比寿は息子に会わせてはいけないという。
そんなある日公園でつまらない路上漫才をする二人組みがいた・・


カマチもチョップも心優しい孤独な幽霊だ。
あちこちでただ食いしたり、可愛い犬を見つけてつい触りまくったり
(後にすぐ死亡)、キャッチボールをしたり、野球ゲームしたりと
お気楽にすごしているように見えるが、基本には影のふたり。
まもなく死ぬ予定の人には彼らが見えてしまうのだが
それも切ない。


ふたりの演技もとても自然でこんな幽霊もありかなと思える。
最後の恵比寿さんの様子にはちょっと不可解に感じるところもあり
いい人なのか悪い人なのかいまいちわからなかったが、
次回に繋がりそうな終わり方で続きが楽しみだ。