「好かれようとしない」 朝倉かすみ

好かれようとしない

好かれようとしない


風吹はすぐに顔が真っ赤になることを学生時代から悩んでいる。
彼がドタキャンしたために誘われた女友達とのエジプトの旅から
帰国して開けようととしたスーツケースの鍵が開かない。
困った彼女はたまたま大家さんの知り合いという鍵屋を紹介される。
どうせおっさんが来るだろうとすっかり油断していた風吹だったが
なんと現れたのは若い男性で、彼女はすっかり恋に落ちてしまった。


70代にして妙に色っぽくフランスの女優のような大家さんと
一緒に成り行きで習うことになったベリーダンス。
その先生も年の割りにセレブっぽい色気のあでやかな女性だった。
そしてこともあろうか彼女は、風吹の恋焦がれる鍵屋の恋人らしい。


主人公風吹のゆれる恋心といじましい努力が可愛らしい。
鍵屋も好青年然としながらもちょっと悪っぽいところもあったり。
彼女が家庭教師をしている中3の女の子も恋に現を抜かしている。
でもその子も真剣に恋をしていてすがすがしいくらいだ。
ベリーダンスの先生は夫婦でお互い恋人を持っているようなタイプだが
彼らもなんだかうまくまとまり、やはり夫婦はちょっといいと思った。