「夏の光」 田村優之

夏の光

夏の光


本が手元に来たときなぜ図書館でリクエストをしたか
思い出せなかったし、内容もどんなものかと思ったが
青春経済小説と言った感じで、朝日の書評で見たことを思い出す。


銀行系の債権チーフアナリストの修一が、取材先の財務省
偶然に高校時代の親友で今はジャーナリストの有賀と偶然出会う。
高校時代付き合っていた純子と三角関係のようになり、
純子は自殺をしてしまったという過去があり、それが許せなくて
修一も精神が不安定になり、有賀も引越しをしてそれ以来だった。
なぜ純子は自殺をしてしまったのか?その真実を知りたくて
有賀を問い詰めたくてずっといたが・・・


ふたりは絶縁状態でいたが、再会をきっかけにふたりで
一度飲みに行くことに。
肝臓を病気で今は酒が飲めないという有賀だったが
大好きなボクシングの話や仕事の話で時間はあっという間に
過ぎていくなか、修一は聞きたいことは聞けずにいた。


お互い忙しいままになんとなく疎遠になりかけていた頃に
有賀の妻が修一を訪ねてきた理由は・・・


ありがちな展開といえばありがちだし、
なんのひねりもないといえばないのだが、最後はなんとなく
明るく終わるので読後感は悪くない。


債権アナリストと経済ジャーナリストの話なので
経済話がちらちらと出てくるのがわかりやすく説明があり
とてもためになる気がした。
たとえば「金利があがると債権はさがる」というルールは
知っていても「債権は売り出したときに毎年利息がいくら払うか
決まっていて満期までかわらないから、その後金利があがったときに
前の売り出した債権よりもいい利息で債権を新発すると
前の債権は利率が悪いからみんなが手放したがり安くなる」
「金利はお金の値段。欲しい人が多くなれば金利はあがる。
景気がよいときに設備投資したり財テクに使おうとみんなが
お金を欲しがったりすると金利があがる」など
経済の話がためになる本だった。