「亡国のイージス」 福井晴敏

亡国のイージス 上 (講談社文庫)
海上自衛隊のミサイル護衛艦いそかぜ」が北朝鮮工作員のグループと海自のある幹部達に乗っ取られ米軍から盗み出された化学兵器を手に国家に反乱を起こす。暴走を止めるため、戦いを挑むたった二人の隊員は・・・

最初に読み出した頃はあまり面白くなくて「やばい、最後まで行けないかも」と心配だったが、途中から俄然面白くなった。物語り的には「え〜??」って所もあったりするが、全体的には最後まで楽しめたし、読み応えがあった。

北の工作員のホ・ヨンファは、クールでなんだかガンダムのシャアを思い出す。妹のジョンヒも不気味でいい。防衛庁情報局内事本部長の渥美も高村薫の小説によく出てきそうなタイプだし、緊張して展開の中にも所々に軽い笑いも隠されている。

如月行があっちの人かと思ってはじめ騙されて読んでいた読者の私は、「実は」という展開にほっと安心、彼はしっかりしているようで、やたら子供っぽくなるシーンもあり、心をくすぐられるキャラだ。如月を子犬のように慕う菊政や、単純系の田所、艦長の宮津、そして仙石先任伍長など他のキャラも魅力的だ。

最後がハッピーエンドなのはいいね〜。