「活きる」 チャン・イーモウ監督

活きる 特別版 [DVD]
コン・リーが好きな私はBSでやったこの映画を見ることにした。
大きな屋敷に住む福貴は賭博で負けこみ、とうとう家を取られてしまい、父親はそのショックで心臓発作を起こしほどなく亡くなってしまう。どうしてもやめられなかった賭博だったが、これを機に妻の家珍(コン・リー)とともに極貧のなか小さな子供と病気の母親を養うべく影絵の人形劇で稼ぐ福貴。地方を回っているうちに人民解放軍と闘わされるはめになり、死にそうになりながらやっと帰ってきたら、世の中は共産党一色に。激動の時代を家族を守り必死に生きる一家の物語。

この時代の中国は、ある日突然あっさりと立場が変わってしまうのが怖い。たとえば一緒に影絵人形劇をやっていた仲間の男がしばらくしたら、すっかり出世をして知事になり、でも走資派の疑いを掛けられ犯罪者扱い。賭博で家を手にした男も共産主義の思想に合わせ家を手放すように言われたのに拒絶して処刑されたり、村長として敬われていた人も走資派と疑われると自己批判をされられる。高熱で口をきけなくなった長女のお産のとき、医者はみんな走資派として根こそぎひっとらわれ、病院には看護学生のような女の子達が威張り腐っているのみ、不測の事態にはもちろん対処できずというシーンにはぞっとした。

福貴役の俳優がすごく自然に老けていくのがすごい。
最初の頃の大きな屋敷や賭博のシーンは、中国の美しい退廃が見られる。