「家守綺譚」 梨木香歩

家守綺譚
亡くなった同級生の家が一家で引越しをすることになり、その家守を頼まれた作家志望の貧乏な征四郎が、出会う不思議な物語。

庭のさるすべりに恋されたり、なくなったはずの同級生高堂が訪ねてきたり、なんとなく拾って居ついた犬のゴローもちょっと不思議な犬だ。隣の世話好き奥さんもしょっちゅう訪ねては食事を置いていってくれるが、彼女も世事に長け、妖怪の話でもなんでも相談すると必ず何らかの答えをくれる。

風情のある四季の移ろいが描かれており、征四郎が自由業でのんびりとしているというのもあいまって、なんだかおとぎ話のような、浮世離れした世界がとてもうらやましい。

最後も夢の終わりのような途中のような、幻想的な閉じ方になっている。
結局高堂はあの姫に恋をしてしまっていたの?