「重力ピエロ」伊坂幸太郎

重力ピエロ
恰好よくてユーモアがあり運動能力抜群の春は泉水の義父兄弟だ。昔母がレイプされてできたのが春だったが、みんなは家族として生活して、今は母も亡くなり、父は癌で入院中だ。
春は絵の才能があるが、今は街の落書き消しの仕事をしており、泉水は遺伝子の会社に勤める。このところ起きている連続放火事件が落書きと関連があると発見した春は泉水と犯人を捜すため張り込みをするのだが・・・

春はとても魅力的で、彼が笑うと家族が幸せになるくらいだが、レイプ犯の息子ということをいつも心に背負い傷を負いながらも、今の父親の子供として生きてる。彼はモテモテなのでストーカーがいたのだが、彼女が大人になって美人に整形してまた出直してくる。その彼女が事件の解決に重要な役割を果たすことになる。彼女は兄の泉水を憎んでいたという。「春の近くて暮らし、自分よりも春のことを詳しく知っており、しかもそのありがたみをわかっていない」からだという。それは逆恨みだが、気持ちはわかる。しかも春は兄を信頼しとても慕っているのがわかるから嫉妬もあるだろう。

伊坂幸太郎は子供の描写がうまいなと思う。しぐさとかセリフとか・・子供の頃に不安になった春が泉水に「僕たち兄弟だよね?」と言うところとかもそうだし。子供ってこういうこと言うよなというのが上手い。

放火犯がわかってからの事態が急展開すぎて「え〜?!」って感じだ。
その後の彼らはどうなっていくのだろう?

遺伝子と環境についてもちょっと考えたくなった。