久しぶりに読んだ瀬尾まいこはやはりいい。
もう年だしとなんとなく惰性で結婚を決めたさくらの前に突然現れた兄は
10才は年下だった。兄はその後は何かと尋ねて来ては彼女にちょっかいを出す。
この兄とは何者なのか・・・
兄と言っても知らない人だし、そもそもだいぶ年下だしと思っていたが
あまりに当然のように接してくる兄にいつしかさくらも「お兄さん」と
自然に接するようになる。婚約者の団子屋の山田も驚くほどあっさりと
お兄さんを受け入れていた。
変なのに変じゃない、何かおかしいけどなんとなく納得もしているような
不思議な雰囲気のまま、でも読者も受け入れてしまう。
最後にはお兄さんの秘密が開かされ、着地するべきところに着地するのだが、
出てくる人がみないい人で、読んでいて心が洗われるし
いい余韻が残る作品。
何の面白みもない男性と思われた団子屋の山田さんも
実はとても優しく心穏やかで素直でとても魅力的な男性だ。
そんな男性と結婚できてよかったとさくらを祝福できる。
瀬尾作品はやはりいい。