ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り

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森アーツセンターギャラリー

この春から「日曜美術館」のキャスターになった新君の第一回がミュシャだった。

まるでミュシャには興味がなかったが、特集を見てみるとなかなか美しいし

細部まで繊細な筆致がとてもいい。

彼の描く美女は美しいだけでなく憂いがあったり、含みのある笑顔だったり

一癖も二癖もありそうだ。綺麗な花を髪にかざりドレスのディテールまでおしゃれで

背景やフォント、小道具まで気が利いていて丁寧に描かれている。

祖国の苦しむ同胞をなんとか助けようとスラブの血に目覚める後期の絵と

パリ時代の華麗で美しい絵はかなりの差だ。後記の絵はテーマだけに色数は少なく

地味で暗い色を多用している。彼の魂は感じるがやはりパリ時代に魅力を感じて

しまう。

 

「ヤロスラヴァの肖像」というミュシャの娘の絵がある。凛としたまなざしを

まっすぐに向け、白くたっぷりとした布を頭に巻いているのは民族衣装らしい。

ペパーミントグリーンの衣装とオフホワイトのたっぷりとした髪に巻いた布も

美しく、てっきりこれはスラブの貴公子を描いているのかと思っていたが

娘だと聞いてびっくり。美しい女性なのだが、あまりに強いまなざしが男性的

だったので美しい貴公子かと思ってしまった。そしてこの絵と新君がとても

マッチしているように思え、彼の初回の日曜美術館ミュシャが取り上げられ

なんとなくふさわしく見えた。