「日本語ぽこりぽこり」 アーサー・ビナード

日本語ぽこりぽこり

日本語ぽこりぽこり


友人にアーサー・ビナードは以前から勧められていたが
なんとなく機会がないままにきたが、今回はじめて読む。


言葉に対する旺盛な好奇心、あくなき探究心には脱帽だ。
だからこそ日本語もこんなに自然にユーモアたっぷりの文が書けるのだ。


彼の文はついクスリと笑ってしまうような言い回しがとてもうまく
彼のような文は私の好みだ。
英語との比較、文化の比較、類似などに関しての記述が多いのだが、
くしゃみをした後に言うBLESS YOUは確かに日本語にはない言い回しだ。
彼が言うように「大丈夫?」が一番一般的か。
英語ではその一言を言えば、何事もなかったかのように会話が戻る
とあり、確かにその点でも便利な言葉だと思った。


街角で変な英訳を見たら、自分で納得のいくものに
訳しなおさないと落ち着かない、
いい英文やすてきな日本語の文に出会うと、
頼まれてもいないのにやはり訳さずにはいられない。
そして疑問に思うことがあるとすぐに調べるフットワークの軽さに感嘆。
いろいろな言語が本当は関連があったりする事実もあちこちに例で出てきておもしろい。


大英帝国とインド独立の話で、彼の先生が教えてくれたという
「包丁がメロンの上に落ちても、メロンが包丁の上に落ちても切られるのはメロン」
この話からイラク問題に話が展開するが、アメリカの要人は
「どうして俺達の石油がイラク人の砂のしたにあるのだろう・・」と
思っているのだろうというのは、アメリカン人でもそう考えるかとちょっとおかしかった。


トイレにあるエアタオルには使い方のインストラクションが
書かれていることが多いが、落書きで最後に
WIPE HANDS ON PANTSと書いてあるものをしばしば見かける。
そして中華レストランではWIPE HANDS ON PENTSと
中国訛り英語で書いてあったとの話を見てから
トイレに行くたびにこの話を思い出すようになってしまった。