「ビター・ブラッド」雫井脩介

ビター・ブラッド

ビター・ブラッド


「クローズドノート」がとても面白くて他の作品もと
思い、新聞広告を見て面白そうだったので読む。


面白かった。他の作品ももっと読みたくなった。


新人刑事として仕事を始めたばかりの夏輝の前に
現れた明村は幼い頃家を出て行った父親だった。
夏輝は妹、母親とともに祖父母の家に身を寄せるが
ほどなくして母親も失踪。自分達に苦労をさせた
父親のことを恨んでいた夏樹だったが
思いがけず、コンビまで組まされ事件にあたることに。


本庁捜査一課の父親はかなりのおしゃれ男で、
ジャケットプレイが得意わざだ。父親としての威厳はないが
さりげなく息子の仕事に役に立ちそうなことは教えたりする。
でも肝心なところで足がつってしまいつめが甘い印象。
課内では「ジェントル」というあだ名で呼ばれている。
そして息子の夏輝は自動的に「ジュニア」と呼ばれることになる。


情報屋の男があるビルから転落死した事件は他殺の可能性があり
その事件を探るうちに容疑者が逮捕されるがどうやら犯人ではない。
そのままうやむやなうちに、捜一の係長鍵山が何者かに殺された。
夏輝は捜査の途中でどうやら彼の部下の誰かが犯人の可能性が
出てきて独自に調べ始めた。


出てくる登場人物がみんな魅力的だ。
夏輝も最初はおどおどした印象だったが、だんだんと自分のペースで
事件に向かっていく。彼は父親に反発しながら、時々認め、
仲間と思う捜一のメンバーを思いながらも疑心暗鬼になっていく。
彼に近づき一緒に捜査に協力していく情報屋相星も憎めない正確だ。
おしゃべりでちょっと鬱陶しいが、愛嬌があり、夏輝の捜査に必要なネタを
次々とゲットしてきては、次に何をするべきか、どう立ち回るべきかの
アドバイスまでしたりしている。一緒に情報をとるためにホストクラブに
一緒に飲みに行くシーンもとても楽しそうでいい。


明村の同僚で子供時代の夏輝とキャッチボールして遊んでくれた過去を持つ
独身貴族のさわやか系スポーツマン古雅も明るくて魅力的だ。
後に色々と切ない事実が浮かび上がってくるだけに。


情報屋相星役を南朋ちゃんで見てみたいな〜。