- 作者: 篠田節子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1996/04
- メディア: 単行本
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映画を見て瑞穂の康臣と正寛への気持ちが
よくわからなくて本を読んだらその謎が解けるかと
手にとって見たが、映画以上に内容が深くて
とても面白かった。
ほとんどの登場人物が映画よりも魅力的に見えた。
瑞穂の夫以外は・・(これは映画が勝ち)
特に正寛は社会と折り合いをつけて
芸術にも理解を示しながら明るい表街道を行く様は
すがすがしいほどだ。自分に自信満々な様子は
若い頃を映画で演じた大森南朋の感じとは違っている。
康臣最後の演奏のテープを瑞穂に渡した奥山は映画では
ちょっとしか出ない役だったが、彼も魅力的だった。
そしてゲイだし。
ゲイといえば康臣が正寛に向ける安らいだ笑顔は
瑞穂には向けられることはなく、二人の親密さは
彼女が嫉妬を覚え疎外感を味わうほどだったが
そんな描写も映画の雰囲気とは違っていたが
それはそれで小説の奥行きを深くしている。
バッハの無伴奏チェロが聞きたくなった。