映画「レッドタートル ある島の物語」

 

 ジブリ作品なのだが、無国籍というかヨーロッパの作品という感じだ。

 

無人島に行きつき脱出を試みるも失敗し、やがて人間となった赤い亀と

一緒に生活をしていく男性の一生を描いている。

 

風景がとても美しい。

透明な海の描写もまさに透き通っている水の動きがとてもリアルだし、

砂浜を歩くのもその焦げ付くような日差しも感じる。

その理由は影の描き方なんだと思う。

きっちりと影があるのがとても新鮮だった。

夜の闇も静かで風情があり雨の森も風情がある。

 

セリフはなく、叫び声などだけ。

数匹の蟹がユーモラスな動きで何かと出てきてマスコット的存在だ。

 

情報量の少ないシンプルな絵がとてもいい。

絵本のように優しい。

人間と亀が一緒に泳ぐシーンががとても素敵だった。

映画「シザーハンズ」

 

シザーハンズ (字幕版)
 

 「フランケンシュタインの恋」を見ていた時に、よく話題にでていたので

興味を持っていた。

 

手が刃物になっている異形のエドワードは山奥の屋敷に一人で

ひっそりと住んでいたが、訪問販売のおばさんに心配がられて

彼女の家に連れて帰られそこで暮らす。

おばさんは親切でおせっかいだ。

近所の人たちも興味深々だったが、やはり女性たちは柔軟だと

感じる。みんな興味をもって寄ってきてくれたり。

途中までは和やかに暮らしていた彼だったが、

彼の手の刃物は武器になることがあるのである時をきっかけに

みんなに追われることになる。

 

最後はだんだんとつらい展開になっていくので見ていると

胸が痛くなる。ほろにがなのが大人のファンタジーなのだろう。

最悪の最後ではなかったのが救い。

 

音楽もとてもファンタジックで美しい。

無垢な表情のジョニデもよかった。

 

映画「ゴッホ 最期の手紙」 シネマカリテ

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アニメと実写を交えているらしいと聞いて興味はなかったのだが

内容がテオへの手紙とあり俄然興味がわいてきて。

 

ちょうど水曜日で安く見ることができて、しかも短い作品だったので

この後バーゲンに行く時間も取れて一石二鳥。

 

ゴッホの絵がもとになり、風景として使われ、人物はアニメになって動き

ゴッホの世界が堪能できる。

背景も色鮮やかで美しくファンタジック。

おなじみの絵でもっと違和感があるかと思ったが

すんなりとこの世界に入れた。

字幕版を見たかったのだが吹き替え版も孝之だったしよかった。

しかも原語はフランス語かと思っていたのだが、制作が英国だったみたいだから

英語の原語なのかも。

 

亡くなる前に預かったゴッホの手紙を郵便配達の息子がテオを探して

届けようとするがテオも亡くなってしまったと知る。

つぎに渡すべき人は彼の最後の時を過ごした精神科医と思い

彼を探して届ける。

自死と言われているゴッホの死の真相にも疑問を持ち調べていく。

 

精神科医のガシェは先日のゴッホ展では晩年唯一の理解者っぽく

紹介されていたが、ここではゴッホの死後にめぼしい絵画をさっさと

持っていったり、ゴッホに嫉妬して口論したり、ちょっと悪意を

もって描かれている気がした。

 

ますますゴッホに興味を持った。

とてもいい作品だった。

 

映画「ジャスティスリーグ」

アメコミヒーローが集まり悪と戦う話なのだが

いまいちアベンチャーズとの差がわからない私。

ガンとかで戦うより意外に剣を使ったり体を張って戦っている。

 

ワンダーウーマンは美しく強いのだが、

バッドマンは意外に弱いらしいのが新鮮。

スーパーパワーのあるみんなをリクルートしている時に

自分のスーパーパワーを聞かれて「金持ち」って答えていたし。

そしてスーパーマンが驚異的に強いらしいのも新鮮。

フラッシュは愛嬌があって可愛い。

そしてどの国でもオタクというのは一緒なのだと知る。

 

ここでもJKシモンズ出演。

彼はすべてのアメリカ映画に出ているのだろうか?

 

テーマソングのCome Togetherがすごくかっこよかった。

映画「ジョン・ウィック」

 

 映画「亜人」のスレでなにかと比べられていたジョン・ウィックだったので

その点に注目。

確かにガンアクションはすごい。

そしてキアヌも割と年齢的に厳しいのかと思ったが

かなり頑張っていた。肉体も作り上げた模様。

続編もあるみたいなので見てみたい。

映画「愛と哀しみのボレロ」

 

愛と哀しみのボレロ Blu-ray

愛と哀しみのボレロ Blu-ray

 

 ダンス映画かと思っていたら、大河のような映画だった。

 

スタートはボレロから始まるのだが、オーデションのような場所で

女の子がふたりで踊るのも美しい。

ボレロをピアノの編曲で演奏されるのもとてもよかった。

 

戦争時のヨーロッパが主な舞台なので、どうしてもユダヤ人狩り

ついてまわる。他の映画でも見たことがあるが、ドイツ人が学校に来て

子供たちのズボンを脱がせ割礼をしている子ども探すシーンもある。

そしてそれをかばう先生たち。

どうしてユダヤ人だけがこんな目にあうのだろうかと

やはり考えてしまう。

 

その後戦争が終わりアウシュビッツから帰った時のフランスの駅で

ひっきりなしにアナウンスが流れ、お迎えの人はどこへとか

身寄りがない人はどこへとかすごくオーガナイズされていて

びっくりした。案内もいてすごい。

 

アメリカではやはり他人事なのだが、そんな中でも戦争に

出かけて行って亡くなっている人もいる。

それも必ずしも戦闘でというより、パラシュートで落ちてとか

そんな理由だったりする。

 

フランス人女性でも生きていくためにドイツ人たちと付き合っていた人は

戦後みんなのいじめにあったりさらされたりすごく悲惨で悲しい。

 

すごく長い映画だったので不安だったが最後まで興味深く見れた。

 

ボレロは唯一好きなダンスだ。

バレエでも物語がある演劇要素の高い作品が好きで、踊りを見せるものは

好きではない私だが、この作品だけはすごく惹かれる。

また舞台でボレロが見たい。

 

 

 

「不時着する流星たち」 小川洋子

 

 

不時着する流星たち

不時着する流星たち

 

 実在の人物をモチーフにした短編集。

グレン・グールドも入っていたので興味をもって読み始めたのだが

この本では私好きする話がないと読み進んでいたが、

「肉詰めピーマンとマットレス」は最初から最後まで

ノスタルジックで心がじんとしびれるような話だった。

 

主人公の女性が息子の住むスペインを訪れる話。

子供だと思っていた彼はそんなに長くいるわけでもないのに

現地の言葉も繰り、何も知らない母のために現地の手引きを

手作りで書いてくれておりそのやさしさにも涙。

その大切にしていた手引きを近所でなくし慌てて探しにいくが

見つからない。

回想で子供時代に幼稚園のお迎えが遅れた時に

「おめめに、嵐がきたよ」と母の顔を見るなり目じりにたまった

涙を震わせ濡れたまつ毛で瞬きをしたという様子も

その描写だけですっかり母の気分で涙。

 

大きな事件がなく、淡々と日常の風景が描かれているのだが

ずっと肌触りのいい柔らかい毛布に包まれているような

気分になる話だった。