「聖母(マドンナ)の深き淵」 柴田よしき

聖母(マドンナ)の深き淵
麻生がなぜ服役をすることになったのかがわかる本。
トランスジェンダーの美女磯島豊が消えた親友の女の子を捜して欲しいと頼まれた緑子は、新宿時代のつてで探偵をやっている麻生を紹介する。ヤク中で売春婦となっていたその女性由香ととうとう会える裁断だついたときに、一緒にいたヤクザの田村と襲われ由香は銃で撃たれて殺された。4年前の乳児誘拐事件をいまだにひっそりと追っている辰巳の同僚刑事の城本。それらの事件は全部つながっていた。

途中麻生が相手を知らない緑子に練のことをのろけるシーンがあるが、彼らしくなくて笑った。そこまで言うか?って程で。酔っぱらってしばらくすると「天使」になるらしいから。でも彼らは別れてしまっていた。そうなんだ・・

最後に緑子が山内を打ちのめすシーンはすっきりとしていい。ジンライムを頭からかけたり、彼の耳の後ろに煙草の火を押し付けたり・・
「失うものがない人が強いというのは誤りだ。失うものがある人はめったなことでは闘わないし、できれば逃げようとする。だから一見弱くみえるが、それは闘いはじめたら絶対に勝たなくてはいけないことを知っているからだ。そして闘い始めれば最後には勝つ。」という緑子のセリフは新しく感じるけど真実なのかもしれないと思った。