ちょっと引きこもりがちの女性が人たらしな染色工芸家と出会い
はじまるぐるぐる巡る切ない恋物語。
主人公の女性は紫とかいて「ゆかり」と読むのがおしゃれだ。
染色工芸家と一緒にいる女性藤代という女性もくったくがないようで
いろいろと歴史がある。
読みながら映像化するなら誰かなと考えていたが
窪塚洋介でどうかなと思ったり。
森アーツの美術展は期待に合わないこともありがちな私だが今回は割と面白かった。
レンブラントの「運命を悟るハマン」は暗闇に浮かぶ人物と衣服の質感も
感じられる作品で目を離せない。
アンソニー・ヴァン・ダイクの「王妃ヘンリエッタ マリアの2人の侍女」
という作品では女性二人のなんとも水水しい美しさがはえる。
フラゴナールとジェラール作「盗まれた接吻」も隣の部屋から顔をだして不意打ちでキスをする男性を受ける貴婦人が美しく妖しい。
ベンジャミン・ウエストの「蜂に刺されたキューピッドを慰めるヴィーナス」は
キューピットがすごく愛らしく動きのある面白い作品。
人物画に魅力的なものがおおかったが、ピーテル・ブリューゲル(2世)(?)の
「スケートをする人たちと鳥罠のある冬景色」は人物のいる風景画だが
独特の雰囲気で興味深く飽きずに見ていられた。
この作品展の前売り券やチラシの一面にある「林檎の木の下の聖母子」は
クラーナハだった。
彼女の本を読むとどの程度これは真実で脚色なのかと気になる。
でもそれくらい絶妙で本当にこんなことがあったんだと感動しながら読める。
でてくる人々も実そこ在の人だし・・
最初に出てくる黒人の老人(老夫婦)の話がじんわりとしてそこから
話がつながっている。
読んだ後に感動が静かに広がる話だった。
」」
今日は天気もよく、風も柔らかく緑も美しい日だった。
ナビ派の絵はなんだかぼんやりとしてパンチがない面白味のない絵かと思ったら
今回の展覧会はすごく面白くて満足度が高い。
私はどうやら平面的で色合いが柔らかくきれいで単純な線の絵が好きなのだと自覚。
特に最近の傾向なのだろうが。
ベルナールもセリュジエもボナールもヴュイヤールもよかったがやはりヴァロットンが
特別にいいなと再認識した。
ドニの「ミューズたち」はとても素敵だったが、展覧会チラシに載っている絵より
それ以外のものの方により惹かれた。
とても面白かった。
音声ガイドでちょくちょく入る館長の話で、フランス人の名前や固有名詞をいうのに
別に特別な発音をしているわけではないのに上手に聞こえるのが何気に不思議だった。