ピエール・ニネというフランスの俳優がイヴの役なのだが、コメディフランセーズの
出身らしっくそれも驚いた。
若い頃から才能を認められディオールのデザイナーに抜擢されながら、
戦争のため兵役が耐えられる精神を病んだり、不当解雇されたり、
家族はすむアルジェリアで内紛がおこり悩んだりと
いろいろと悩みの多い青年で、とても繊細で、仕事以外では生活力がない天才。
彼を公私ともに支えてくれるパートナーとめぐり合いうまくいってたり
喧嘩したり悩んだりという様子が描かれている。
イヴ自身も天才で悩みを多く抱えてつらいさまはよくわかるが、彼のパートナーの
ピエールの苦悩も見ていて辛くなる。
映画で目を引くのは美しいファッションと、その時代のファッションビジネスで
働く女性たちのかっこいいファッション。実名で伝説のセレブ達もたくさん出てきて
華やかな時代を感じる。
イヴはしゃべり方もいつもささやくようで、声を張らないのだが、
ショーの最後に挨拶に出てお辞儀をするさまが「神学生のよう」というのが
あまりにぴったり。マヌカンたちにドレスを着せて見終わった時にも
彼らに「メルシー、マドモアゼル」ときちんといつも言っているのも
礼儀正しいお坊ちゃんでいい。
ピエールと知り合い恋人同士になったばかりのシーンは二人で子犬がじゃれるように
楽しくパリを散歩していたりしてかわいいのだが、そんな時はすぐに去り
苦悩の日々になるのだ。
芸術家というのは脳の構造が一般の人と違い、どこかがすごくすぐれている分
他は欠落しているのかもしれない。