「J.S.バッハの世界 ベーゼンドルファーとスタインウェイーで聴き比べ」

場所 東京文化会館小ホール
ピアノ 横山幸雄
曲目 バッハ
    イタリア風協奏曲 ヘ長調 BWV.971
 イギリス組曲第3番ト短調BWV.808
トッカータ ホ短調BWV.914

主よ、人の望みの喜びよ(ヘス編曲)
    シャコンヌブゾーニ編曲)
 
    ゴールドベルク変奏曲ト長調BWV.988

ベーゼンドルファースタインウェイーの聞き比べは2回目だが
今回も面白かった。
ステージの横に薄い机状のオルガンのようなものがあったのだが
それは電子チェンバロだった! あの楽器はどういう仕組みで
音が出るのだろうかと弦があの小さなスペースにでも
入っているのかなと思っていたが、電子チェンバロと聞いて納得。


今回は前から3列目でピアノの大屋根のすぐ下あたりだったからか
音の響きもよく聞こえて迫力だったが
やはりチェンバロやクラヴィーアなど耳なじんでいるような曲ばかりと
ピアノで弾いているのを聞くとちょっと新鮮だった。


途中「主よ〜」と「シャコンヌ」のときにベーゼンドルファー
変えて弾いてくれたのだが、大屋根に映るピアノの中がとても綺麗で感動。
スタインウェーの方は赤いリボンのような(帯のような)ものが
中にたくさん挿んであり(音を調整しているのか?)見た目が違う。
ベーゼンは全体に木目調で落ち着いた色合いで上品だった。


小さな音で弾くよりも大きな音の華やかさがいい。
シャコンヌではとても大きく華やかに音が広がりまるで
オーケストラのような迫力と厚みだと感動。
低音を単音で弾くと響きが長く続きすぎ、耳障りに感じるほどだが
今回のシャコンヌみたいな曲でこそベーゼンドルファー
いいのではないだろうか?


でも横山さんはやはりスタインウェーの方が弾きやすいのか
また最後の曲はスタインウェーに戻していた。
通常のピアノのキーでは足りない曲専門でベーゼンを弾いてるようで
もっと聞きたい私は残念だった。


スタインウェーの美しさに感動したのは、実はアンコール。
アヴェマリア」を弾いてくれたのだが、静かなさざなみのような音が
まるで映像でつい湖面が浮かんでくるほど繊細だった。
このピアノは小さな音で演奏するものにもとても向いているのかもしれない。


横山さんは見た目華やかさのないおっさんだが、
彼のピアノリサイタルはいつも楽しめる。
すごいピアニストなのかしら?