「なかなか暮れない夏の夕暮れ」 江國香織

 

なかなか暮れない夏の夕暮れ

なかなか暮れない夏の夕暮れ

 

 すごく実験的な小説だ。

主人公は日がな本ばかり読んでいる資産家だけど普通の男性。

彼が読んでいる本の物語が綴られ、彼が現実に引き戻されるタイミングで

唐突にお話が中断されるの、一緒に現実に戻る気分が味わえる。

特別な事件が起こるわけでもなく、彼の周りのちょっと変わった人々の日常が

淡々と描かれ、淡々と終わる。

 

「ボストン美術館の至宝展」 東京都美術館

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古代エジプト、東洋美術、現代などいろいろあったが、

一番面白かったのはフランス絵画だった。

 

ミレーの「洋梨」は黒っぽい大ぶりの洋梨が全面的に描かれているだけだが

存在感があり画面もキラキラ光っており面白い。

シスレーの「サン=マメスのラ・クロワ=ブランシュ」もなんてことない

風景画だが、ずっと見ていたくなる不思議な魅力がある。

シスレーは静物画の「卓上のブドウとクルミ」も面白かった。

モネの作品はいまさらと思っていたが、「くぼ地のヒナゲシ畑、ジベルニー近郊」では

むせかえるような草いきれが感じられるし、「アンティーブ、午後の効果」では

海の色がまさに地中海色、「睡蓮」も見飽きたと思っていたが、

水面に浮かぶ睡蓮から周りの情景まで目に浮かぶ。

 

ゴッホの「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」とルーラン夫人の像も面白い。

ゴッホの絵はポストカードと違って本物の絵はどこがどうという説明は

できないが迫力というか色合いというか面白いなといつも思う。

 

 

「没後40年 幻の画家 不染鉄   暮らしを愛し、世界を描いた」 東京ステーションギャラリー

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日曜美術館の紹介で興味を持ったがこのポスターだけでは行く気にはならなかった。

 

墨絵やカラフルな精密画やら、シンプルな線の絵などいろいろな画風がある。

集落を描いた作品が多く、私は墨絵で線の少ない絵が素朴ですごく好きだ。

静かにまっすぐに降る雨にたたずむ夢殿を描いた「雨の夢殿」や

暗闇の中に明かりが漏れる民家の絵もすごく抒情的でよかった。

 

ステーションギャラリーは東京駅の改築後には初めて来たかも。

意外に広い印象だ。昔はもっと狭くなかった?

 

映画「アリーキャット」 テアトル新宿

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窪塚洋介の新作として見てみたくなった。

 

窪塚君は元プロボクサー役だったが、降谷健志の方がプロボクサーっぽかった。

社会の底辺に生きる二人がふと知り合った母子を救うために戦う話で

アリーキャットというのは野良猫という意味らしい。

 

最後はどういう落とし方?と思ったのだがなんとなく終わった気が・・

 

もっとどんどん映画に出てほしいな、窪塚君。

映画「シン・ゴジラ」

 

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

 

 パニック映画としてもそれなりにドキドキできたし面白い。

誰かも書いていたが、政府の危機対策の仕組みが覗けたのが

興味深かった。

セリフも早口で難しい内容もちょいちょいあり聞き取りづらいのは

私が年を取ったから!?

野村萬斎ってどこに出ていた?

「武曲」 藤沢周

 

武曲 (文春文庫)

武曲 (文春文庫)

 

 映画だけだとわからないところが、その前後の説明もありわかりやすい。

映画はかなり背景やセリフがはしょられて唐突に感じるられる。

 

本も始まりはアル中から抜けた状態の研吾なので、映画よりはるかに

真っ当な人物然としていたが、途中はまたアル中に戻り

現実と幻想を行ったり来たりしていた。

 

本はより剣道の専門的なことが書いてありそんなに派手な内容ではないし

この原作を映画にしようと思ったのはなぜだろうとふと思ったりして。