「イノセント」 島本理生

 

イノセント

イノセント

 

 ある女性と出会った40歳男性真田、そして神父如月の出会いと

続いていく関係の物語だが、恋愛小説らしきものはしばらく

読んでいなかった気がするのでとても面白かった。

 

主人公の女性比紗也の初めのシーンでは天真爛漫そうなのに、実は暗い過去があり

そしてその後悲しい未来が待っていた。それが真田や如月の話が

描かれるとともに明らかになっていく。

やたらと男好きする彼女に男たちは常に誘いをかけ、女性たちには悪く言われる。

出産を控え幸せそうだった彼女が次には母になっていたが、夫はいない。

 

辛すぎる過去が明らかになり、また如月自身もつらい過去の囚われており、

でも如月は彼女と出会って気持ちが楽になってくる。

如月の彼女への献身ぶりは尊いと思えるほどだ。

 

最後は思っていたことを裏切られるシーンがいくつかあったが、

そのいくつかはよかった結果に裏切られたのでほっとする。

最後は予定調和すぎてちょっと拍子抜けするくらいだったが、

ずっとおもしろく読めたのでまた彼女の作品を読んでみたくなった。