美術ものの原田作品と思い読み始めて、今までの私が読んできた彼女の作品と
あまりにも違う文体に驚き、何度か著者名を再確認した。
金持ちの美大生が卒業制作と仕事に追われ寝坊をしたところから
物語が始まるのだがミスリードにあっさりと引っかかった私。
面白い!
主人公は美大で賞をもらいパリ留学を晴れてするのだが、
そこでも思うように進まない人生。
バイトしていたカフェによく来る不思議な日本人(いつもタイプをものすごい速さで
叩いているので高橋名人と勝手に命名)とパリでの思いがけない仕事への縁。
主人公でストリーテラーの美智之輔の心は乙女。
フランスではミッシェルと呼んでもらっているのもいい。
ドタバタ慌てたり、妙に冷静で毒舌だったり、優しかったり。
いちいちギャグテイストでおかしくて、原田マハっぽくないと
思ってずっと読んでいたが、原田宗徳の妹と考えると
何の不思議もないと思い立つ。
高橋名人あらためハルさんが、ファストファッションで身を固めていると
思っていたら、そう見えるが本当はハイブランドの服ばかりを
来ていたと知って衝撃を受ける美智之輔というシーンがあったが
昔勤めていた会社の先輩でまさに高そうに見えないのに
高い服ばかりを着ているとからかわれていた先輩を思い出した。
先輩お元気かな~
ちょっとホロニガな場面もありつつ最後は進むべき美術の道が
輝かしく見えてうれしい終わり方だった。