歌舞伎役者の萩太郎は、若くして急逝した先輩役者の息子秋司の後見人となる。
秋司は幼いながらも踊りも芝居も達者で、初舞台もまだの同い年の
萩太郎の息子俊介とは大違いだった。二人一緒に舞台に出ることになったのだが、
秋司はおたふくになり舞台に出られなくなった。
殺人事件など事件らしい事件が起きるわけではないのだが、まさに
「歌舞伎ミステリー」といえるミステリーが読後感だ。
歌舞伎界のちょっとドロドロしたところや、後ろ盾がいないと御曹司でも
苦労するというのは平安時代の貴族か?
勘九郎たちもそれなりに大人だが、やはり苦労しているのだろう。
彼らには仁左衛門さんもついているわけだが。
将来を嘱望される才能ある御曹司が姿を消して、しばらくぶりに意外な形で
現れる。芸の世界は甘くないとはいえ、彼の明るい将来に思いをはせる。
この本を読むときっと香川照之もさぞ苦労しているのだろうなあ。
続きができたら読んでみたい。