「舞台」 西加奈子

 

舞台

舞台

 

 かっこつけで嫌っていた父の遺産でニューヨーク旅行に来た葉太は

自分も病的に自意識過剰な男だ。到着してすぐに入ったダイナーでは12ドルもする

のにいちいちまずい朝食に耐え、その後に訪れたセントラルパークでは

早速すりにあい、一文無しに。

一目が気になりSOSも出せず、領事館にも行けず、わずかな所持金で食いつなぎ

浮浪者のようになり精神的にも破たんをきたしていく。

 

最後にあのダイナーがでてきて思いがけず大切な役割を果たす。

葉太があまりに痛々しいので読んでいてつらくなるが、急に明るい光がさして

鮮やかに物語が終了する。こう来るか!