「鉄鼠の檻」 京極夏彦

鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)
箱根の古文庫の整理を頼まれた京極堂に誘われ
夫婦で箱根旅行に行くことになった関口。
近くの旅館には京極堂の妹で雑誌記者の敦子が
カメラマンの鳥口とともに禅寺明慧寺の取材で来ていた。
ある日旅館の庭突如現れた僧の死体。
それを皮切りに連続禅僧殺人事件が起こる。


読んでいて登場人物の解説がほしくなるんだよな、長い話は。
特にちょっと前に出てきた人とかはすぐに忘れてしまう私だから。
今回も僧の名前が難しいのと、刑事たちは苗字で呼び、僧達は
名前で呼ぶのでますますわかりづらい。


この話では箱根の旅館に「姑獲鳥の夏」で出てきた久遠寺爺が
滞在しており、そこを訪ねた今川という骨董屋も榎木津の軍隊時代の
部下ということでみんな縁があった。
そして探偵はさっそうと現れ、ひっかきまわして去っていく。


謎の禅寺で修行を積む僧たちも内実いろいろと抱えていた。
幹部の僧にはお付の行者がふたりくらいいつもついていて
仏像展の仏像を思い出した。その中で私の注目は慈行様。
若くて美しく妖艶でヒステリックで厳しくてクール。
榎さんに「中身がない」と言われていたのは、修行を導く師匠が
いなかったせいなのだろうか?
彼は着物をはためかせながら颯爽と歩くさまが美しい。
最後あんな結末になってちょっとさびしい。


今回も楽しめたが、なんとなく頭に入りにくくまとめにくいのは
エピソードが多く、薀蓄たっぷりで漢字が多くてわかりづらいという
こと以外に、ロジカルで納得しやすい展開じゃないからなんだろうな。