「強運の持ち主」 瀬尾まいこ

強運の持ち主
アルバイト情報誌で見て占い師になった吉田幸子改めルイーズ吉田は、要領のよさでめきめき頭角を現し、今や「よくあたる」などと言われるようにまでなった。
占いを訪れる人々の人間模様、そして彼女の相談相手のボーイフレンドの通彦、占いの先生ジュリエ青柳などとともに悩みながら解決していく様子を描く。


彼女の元を訪れる人々の中で、小学生の男の子の回「ニベア」がとてもよかった。「お父さんとお母さんのどっちがいいか」というのが相談だ。離婚の際にどちらについていくべきかという話かと思ったら違っていて。最後に切なくてほろっとくる結末が待っていた。


同居している彼の通彦は、いつでものんきで穏やかな性格だ。以前占いに彼女と来ていたのを、自分との相性のよさと彼の驚くべき強運の持ち具合に惚れ、いろいろ策を弄して手に入れたが、いまだに強運ぶりはお目にかかれないでいる。彼女の悩みにのんびりと答え、いろいろな料理にも挑戦したり、休みは一日中寝ていたりする。こんな男性いたらとても素敵だなと思える。


毎度彼女の作品はいい人ばかり出てくるので読後感もとてもいい。