「たそがれ色の微笑」 連城三紀彦

たそがれ色の微笑

たそがれ色の微笑


高校の同級生康子が教師小林に付きまとわれ迷惑をしているのでそれを遠ざけるために付き合っている振りを頼まれた竹内、3人の関係が意外な方向に発展していく「落ち葉遊び」、若い頃に離婚して以来独身を通す47歳の敏腕弁護士がホストらしくないホストに一目ぼれをしてしまう「たそがれ色の微笑」、一時は漫才界を背負って立つとまで言われた伝説の漫才師藩一と県太の栄光と影に隠された痛いほどの愛情の物語「白蘭」、突然離婚をすると言い出した両親とそれぞれの新しい恋人達との心のふれあい「水色の鳥」、母も父も人間に殺され自分も殺されそうになったはずが、人間に拾われ、怖がっていたはずがいつしか人間に懐いてしまった子狐が戦に出て行ってしまった彼を追いかける「風の矢」の大人の愛の短編集。

どの話もちょっと意外な展開が必ずあって楽しめ、はずれがない。すっきりと終わるというより余韻をもたせて読者にその後を考えさせるような感じだ。連城三紀彦は子供が心を寄せていく描写をするのが上手いな〜。子狐の物語の「風の矢」も切ない童話のようだ。

「たそがれ色の微笑」で、友人に連れられたホストクラブの化粧室でいきなりキスをされるシーンがある。以前「いきなりキスして抱きしめる」方法が女性を落とす確率が一番高いとあったのを思い出す。これでやはり成功したということか?