「グラスホッパー」 伊坂幸太郎

グラスホッパー

グラスホッパー

交通事故で妻をなくした鈴木は、その事故をおこした犯人の馬鹿息子が働く怪しい会社に復讐する機会を窺うため、入社する。その会社は違法なドラッグを売ったりキャッチセールスなどを手がけていた。ある日その息子は車に飛び込み死んでしまう。それは事故ではなく彼を押して車に轢かせた「押し屋」のせいだった。押し屋を追いかけて行くと押し屋はいかにも平和そうな家庭を持っていた。政治家などに依頼され相手を自殺させるのが仕事の「鯨」、殺し屋の「蝉」。別々に進んでいく話が段々とつながってきて・・・
槿の次男がいつも小さな声でささやくようにしゃべるというのが可愛くていかにも柔らかい印象がして、パスタの上手な奥さんとかすごく普通の家族っぽく思わせる描写がうまい。
「押し屋」を雇ったのは意外な人だった。
鈴木の死んだ奥さんがちょこちょこと彼の回想に出てきてはいい味を出している。