読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「ムンク展」 国立西洋美術館

ムンクの絵というと「叫び」の引きつった怖くて暗い絵を
思い浮かべるが、見ているとマティスのような明るく力強い
タッチの絵も多い。


ただやはり特徴的には、目がうつろで、背景に曲線を多用し
色合いも不安をにじませるようなものだ。
人物は子供の絵のような単純な顔のものなのに
なんとも言えない迫力を生んでいる。


「吸血鬼」は男性を抱えた女性が彼の首筋にキスをしている。
女性の赤く長い髪が男性を抱える両腕の上に流れている。
とても官能的でクリムトのようだ。


「星月夜I」は雪のやんだ蒼い夜に家々のあかりがほんのりと
浮かび上がり、静けさと寂しさに切なくなる。


「マドンナ」は若くてやたらと色っぽく小悪魔的なマドンナの
リトグラフでなんだか新鮮。


「浜辺の人魚」は色は明るめなのに、浅瀬に座りこちらを見ている
人魚とその背景の海には空虚で退廃的な感じがする。


以前、日曜美術館でムンクの特集をしていたときに
偶然見た「公演で愛を交わす男女(リンデ・フリーズ)」。
子供部屋に飾る絵をと頼まれたのに、男女がキスするシーンを
仕上げてきたムンクに子供にふさわしくないので困ると言われたらしい。
でも明るくて開放的な初夏の公園の中で、いくつかのベンチで
それぞれがキスをしている男女が描かれていていやらしい感じではない。
絵も特に写実的ではないから生々しくないし。
これで返品はもったいないな。