映画「奇蹟がくれた数式」 

 

奇蹟がくれた数式 [DVD]

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 とても面白い映画だった。

 

インド人の数学の天才の青年がインドの田舎からケンブリッジまでたどり着き

イギリス人の数学者ととも自論の発表のためにささげた日々を描く。

 

based on true eventとあってこういう話はやはり魅力的だ。

フィクションもあるだろうが、出てくる登場人物も実在だったりして

親近感と興味がわきやすい。

 

主人公のインド人の青年はインドの田舎で狭い共同体の中、昔ながらの

しがらみや考え方に縛られて生きているのだがやっと伝手を見つけて

イギリスに向かう。

インドの田舎の風景も美しいのだが、まるで秋野不矩の世界だった。

 

トリニティカレッジの様子も数々の映画で見た景色で美しく

芝生を横切っていいのはフェローだけっていうのも面白い。

今でもそうなのだろうか?

 

主人公を育てて教育し友情をはぐくんでいく教授にジェレミー・アイアンズ

演じるがファッションがスタイリッシュでおしゃれ!

ちょっと枯れたイギリス人のおじさまの魅力全開。

彼は人付き合いのあまりしない取っつきにくい人なのだが、

彼の友人のリトルウッドは明るくて社交的で救われる。

このリトルウッドの役者さんは現代版ホームズでサイコの役で

見た気がするな~。

 

インド人ということもあり閉鎖的なトリニティではまるで相手に

されない日々にだんだんと落ち込んでくる主人公だったが、

圧倒的な才能に関しては薄々は認めつつある周りの教授たちだった。

トリニティで排除される様子に数学者というのは圧倒的な

才能に関しては祝福を送り、人種や階級などの壁もあまり

気にしないのと思っていたので排他的な様子にちょっと驚く。

 

そしてトリニティではお互いをlast name呼び捨てというのも

新鮮。そういえばイギリスの大学を描いた他の映画でも

そうだったと思い出す。

バートランド・カッセルも出ているのだが、彼だけは

「バーディ」って呼ばれていた気がするのだが・・

 

エンドクレジットを見ていたら、プロデューサーの名前に

日本人名がいくつか連なっていたがどういう関連性があったのだろうか?

それも興味深い。

映画「亜人」  TOHO CINEMAS SHINJUKU

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IMAXで見ましたで。

 

健が助けてもらった佐藤と対峙することになったのが唐突な気がしたが

ヒーローらしからぬ普通っぷりがいい。

山奥で暮らす吉行和子に逃げてきた健はかくまわれ数日過ごすのだが

吉行さんを見て、とんねるず保毛尾田保毛男を岸今日子と姉妹役を

やっていたことを思い出した。大好きだったが最近30年ぶりくらいで

最近テレビで復活したのを時代にそぐわないとか差別的と大炎上と聞いて

世知辛い世の中になったと感じる。

 

玉山鉄二厚労省官僚なのだが、彼の記者会見を見ると「ハゲタカ」を

思い出す。城田優も長身で黒の衣装が凄く似合ってかっこいい。

 

MX4Dで見てみたいが、酔っちゃうのかな・・

「影裏」 沼田真佑

 

影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞

 

 芥川賞受賞作品で図書館で借りたがあっというまに読むことができた。

 

震災にまつわる話ではあるのだが、派手な事件が起こるというよりも

日常の延長の震災という感じでむしろそれがリアルではある。

 

文章が装飾的で難しい漢字も多用されておりルビがなくて読めないものもあった。

 

主人公は医薬品会社に勤めており、釣り仲間だった日浅との釣りの日常から

彼が退社して以来疎遠になり、震災後行方不明になった日浅を探す。

読者は話が進むにつれ日浅の影の顔のようなものを知らされていく。

2人で楽しく釣りをしているころに「彼は生まれてくる時代を間違えたように

みえる」という感想を主人公は抱く。江戸時代に生まれていたら磯に小舟を

浮かべて海岸線を計測したり云々。

彼は浮世離れしているようでも、実は誰よりもしたたかであるようでもあり

つかみどころなく感じるが、時代を間違えたというのはすごく印象に残った。

 

出てくる小物やおつまみなどがいちいちおしゃれで

ただのリーマンではないと感じさせる主人公なのがゲイを感じた。

 

「熱氷」 五條瑛

 

熱氷

熱氷

 

氷山ハンターの石澤は姉として育った朱音の突然の訃報でカナダから10年ぶりに

帰国をするが、彼女の遺児の光晴を誘拐され犯罪に巻き込まれる。

 

なかなか面白い。

主人公の石澤は安定感のある主人公然としており、大人でユーモアも

可愛げもあり信頼できる。ただ光晴のために犯罪も辞さない姿勢に

まわりがハラハラさせられる。

 

誘拐された光晴も途中から思いがけず危機的状況に拍車がかかり

ドキドキされされるし、真犯人が意外な人とわかりかけるところは

残念に思ったり最後まで飽きずに読み切れる。

 

映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」  アップリンク

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評判がすごくよかったので興味をひかれた。

アップリンクは初めて行ったがあんなところに映画館があったとは・・

小さな劇場だが椅子の座り心地は悪くない。

 

セルゲイ・ポルーニンというバレエダンサーのドキュメンタリーなのだが

個人的に映画でドキュメンタリを見たいといつもは思わないのだが

これは面白かったし、最後まで退屈しない。

 

もともとはロシアの田舎の普通の家庭に生まれたセルゲイが

世界的ダンサーになるにはたぐいまれなる才能以外にも

家族を挙げての協力と母親の強い意志があった。

おばあちゃんも父親も外国に出稼ぎに行き彼の学費を稼ぎ

母親は一緒に息子について都会に出ていき細々と暮らす。

 

セルゲイはどこの学校でも一番になり最終的にイギリスのロイヤルバレエに

留学するのだが、ここで疑問だったのはロシアでも十分に

いいバレエカンパニーがあるのになぜわざわざイギリスに行ったのだろう?

母親はビザがないため息子をなくなく一人で留学させることになったので

そこまでしてと少し不思議。

初めてロイヤルバレエ団の建物を見た彼がまるでハリポタのようと

感動してみたいなので、ロシア人にとっても壮麗なんだと驚く。

 

そして幼いころからの映像がかなり残っていたのもすごい。

手足がながく美しいのだが、なんてことはない踊りでも

すでに表現力がすごくて驚く。

 

自分のためにばらばらになった家族をいつか一緒に戻すのが

彼の望みだったのに両親は離婚することになり、

それをきっかけに彼はオセロをひっくり返したように

母親や家族を恨んでいく。

バレエでトップになっても心は満たされず、目標も失い

燃え尽き症候群のようになってしまったのが

ロイヤルバレエを退団することになった原因なんだろうか?

もう少しロイヤルバレエにいてほしかったな・・

 

帰国したロシアでは思ったような待遇も受けなかった彼だが

Take me to churchのMVが大評判になり、現在では俳優も

やっているようだ。

ヌレエフをやるという噂もあったのでそれも楽しみ。

 

それにしても彼のお母さんやおばあちゃんが若く美しいので

驚いた。

 

彼の踊りをみていて、心から「ボレロ」を見てみたいと思った。

やってくれないかな~

 

映画「何者」

 

何者

何者

 

 就活の闇みたいなものを見せつけられた気分でちょっとぞわ。

これも青春の1ページなのだろうが、見ていてつらい。

自分探しや成長の過程でもある。

 

「かっこよくない佐藤健が見たい」と健が選ばれたとどこかで読んだ気が

するのだが、確かにかっこよくない健が見れる。

私の就職時はもっと売り手市場だったからここまでではなかった。

 

ネット社会なだけあり、OB訪問した先でメアドを教えてもらい

twitterで検索してその人や周りの人をfollowして彼らの生活ぶりを知るなんてのも

すごくこわ~い。

この何気ない検索がギスギスする人間関係を描くきっかけになったりもする。

そして二階堂ふみ演じる女の子がまた心理をぐさぐさとついて健を追い詰める。

 

菅田将暉が劇中でバンドをやっていて歌うシーンがあるが

すごく自然でいい。歌もバンドらしい。

 

エンディングテーマの米津玄師はすごく好き。

聞いていてなんとなくスーパーカーを思い出した。

 

 

映画「ダンケルク」

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クリストファー・ノーランの作品は見たことがなかったが評判もよく

いつもなら興味のわかない戦争映画だがなんとなく見たくなってしまった。

 

音楽もずっと不穏なかんじで不安感をあおり、見ている自分たちも一緒に

逃げるような気になる。

ダンケルクのビーチは海は明るく真っ青でリゾートのような白い砂浜に

暗いイギリスの戦争映画を想像していたのにそこでまず違和感。

でも逆にそれがリアルな一面を感じる。

 

その後は気の遠くなるほど多くの兵士と圧倒的に少ない軍艦、

それでもやっと船出してもすぐに爆撃され、そこからまた逃げ次の船に

ほうほうの体で乗ってもまた爆撃の繰り返しで疲弊する。

 

極限状態でみんな我先にとなっている中ではそこまで地獄絵図にならず

秩序が保たれている方だと思った。それはやはりキリスト教徒だからという

のもあるのだろうか。誰もいなくても神は見ているの精神というか・・・

 

そんな中でもケネス・ブラナー演じる司令官はかっこよすぎだ。

まずあんな状況でも軍服をばっちり着こなし、みんなが弱気になっても

あきらめず。そして大方イギリス人が帰国のめどが立ったのちも

フランス人のために残るという・・(涙)

 

兵士を救うためにイギリスから遊覧船で駆け付けたマーク・ライランス。

彼も国のために立ち上がり危険を顧みずダンケルクに向かう。

かっこいい一般人の役なのだが、年相応に分別もありすばらしい。

彼の船に海から助けられた軍人が何人かいるのだが、その中のパイロットは

軍服の下にスーツを着ていてさすがイギリス人。

そしてマーク・ライランス売れっ子すぎ。

 

ここでチャーチルの演説の言葉が出てくるが、伝説ともいえる彼とも

一緒に働いたというエリザベス女王って本当にすごすぎる。