「男尊女子」 酒井順子

 

男尊女子

男尊女子

 

 いつもフェアで冷静に物事を見て面白おかしく書く彼女だが

今回もどちらかに偏らず、自分も冷静に判断していて面白い。

 

いまだに女性が男性を立てるようなそぶりを見せるのも

いろいろなことをさせられるのは面倒だから、楽したいからというのが

根底にあることは理解できた。確かに仕事でもその他大勢で

言われていることだけやっている方が楽だしな~

高キャリア、高収入、高身長の女性が自分よりすべてが下の男性に

プライベートでは頼り切ったりするのも理解できる。

普段は自分で決めて気を張っているからprivateでは楽したいのだ。

でもこれは女性だけではなく、地位の高い責任の重い仕事についている

人がSMで女王様にいじめられるのが好きだったりするのも同じで

普段はいつも決めて指示しているからたまには言われるがままに

従いたいという欲求なのだろう。

何かの本で人間が一日に決められることはある程度数が決まっていると

あったが、仕事でいろいろ決めている人は私生活では決めることが面倒なのかも。

 

1970年代末のイラン革命前は親米で自由を謳歌していた女性たちが

革命後のがちがちイスラム国家になった後は驚くほど自由が奪わてしまう。

「時計は戻そうと思えば戻すことができる」とこの件で知ったという

著者の言葉にびっくりした。

一度勝ち得たものは戻るはずがないと思っていたが、どうやら想像以上に

簡単に時計を戻すことができるのは衝撃的だ。

 

日本でも女性の地位が上がったり、自立したり、揺り戻したりしているが

あまり当たり前と思ってはいけないのかもしれない。