「カラヴァッジョ展」 国立西洋美術館

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ボッティチェリといいイタリアものの展覧会が多いわと思っていたら

日伊国交樹立150周年記念らしい。

今年いっぱいはイタリアフェアになるのだろうか?

 

上野の前に行った恵比須では、まず山手線内で顔をあげたら

ミンティア綾野剛がいてニヤついていたのだが、恵比寿駅構内でも

大きなミンティアの広告があって「いい一日だ~」

 

この展覧会は最初は行くつもりはなかったが、

誰かのtwitterデレク・ジャーマンの映画で

絵をそのまま蘇らせたような構図のシーンがあってそっくりだったとあり、

急にそういえばそうだったと思いだし見たくてたまらなくなった。

 

ボッティチェリもよかったがカラヴァッジョは魂奪われた!

 

イタリアに旅行に行った時などはキラ星のスーパースター満載の現地の美術館では

私的には「もう一人のミケランジェロでしょ?なんだか暗くて地味だし」と

まるで食指が動かなかった気がするのだが今回は度胆抜かれた。

こんなにつややかな絵だったのかと。

そして自画像の絵がイタリアリラのお札の絵だったと知り、

イタリアでもそんなに重要視されている画家だったのかと。

思わずその絵をみて「見たことある!ある!覚えている!」

 

今回の展覧会はカラヴァッジョとその系統を継ぐカラヴァッジェスキ達の

作品が並べられている。カラヴァッジョ自身の作品は10点くらいだったが

物足りない感はなかった。

 

照明の当て方となどもあるのだろうが、「ナルキッソス」の青年の

美しくなまめかしい様には息をのみ、しばらく目が離せなくなった。

 

「果物籠を持つ少年」では果物があまりにリアルでピントがあって

見え、少年が背景のおまけにも見える。

この絵を映画で描いていたのだったと思うが、映画の方が

美しい青年でなんとなくこれで絵として記憶してしまっていた。

 

バッカス」でもワインの瓶やグラスが精巧にえがかれていて、

静物がきれいだ。果物や酒がとても写実的なのに人物は

そうでもないのが特徴的だ。

 

「アミンタの嘆き」でも憂い顔の青年がひどく魅力的だ。

 

静物は精密に描かれているのに、背景はあまり描かれないのと

人物の誰かが絵を見ている人をまるで見つめているように

描かれていたり、邪悪な気持ちや憂いなどが

ストレートに伝わってくるような、私たちの心が

ざわつかずにいられない絵が多い。

特に細かく写実的な絵でもないのに表情の訴える力が

すごく、とても生々しい迫力がある。

 

「洗礼者聖ヨハネ」は、いわゆるおじいちゃんヨハネではなく

若く美しいヨハネが描かれており、新鮮だった。

緋色の衣装がまた色っぽすぎる。

 

カラヴァッジョ自身も破天荒な人生を送り、

風俗画もたっぷりとした物語があり、映画をみた後のような

印象の残った展覧会だった。