「伊勢音頭恋寝刃」

仁左衛門さんの昔の舞台が見たくてDVDを借りてきた。

この舞台は1995年ごろのようだ。孝夫表記になっていた。

 

お家横領をたくらむ奴らが家老の息子万次郎をだまくらかし、御家の重宝の名刀を

奪う。その刀を取りもどそうと頑張るのが万次郎に仕える貢(孝夫)

廓のお紺(雀右衛門)とはいい仲だが、やり手婆の万野(玉三郎)にだまくら

かされて、彼女が留守なので店にいる以上は他の娘を呼ぶように言われ

しぶしぶ承知すると来たのはオカメフェイスのお鹿(澤村田之助)。

貢がはめられたときなどに機転を利かせて彼を助ける料理人に勘九郎(勘三郎)。

 

とにかく見目麗しいニザ様だ。お顔も憂いがあり美しく、ほつれ毛も

色っぽい。立ち姿、歩き姿、座っているさまもいちいちかっこいい、

ザ歌舞伎。この役は「ぴんとこな」(優しい二枚目だが芯も強い)だと

解説にあったが、最近ドラマで「ぴんとこな」というジャニーズ歌舞伎ドラマが

あるが、ぴんとこなという歌舞伎用語など聞いたことがなかったが

はじめて歌舞伎で聞いた。

 

玉三郎がいじわるなやり手婆で、それはそれで似合っている。

田之助の不細工遊女ぶりがコミカルだけでなく哀れさも漂う。

わざとなのかどうかわからないがお鹿の襟元がゆるく見ていて気になって

仕方がなかった。

孝太郎が意外に美人に見えて驚く。

 

最後は妖気にあてられたように次々と貢が敵役を切っていき、

正気に戻ってから、驚いて自害をしようとするが、止められ

名刀と証書もともに戻ったことを知りめでたしとなる。

「めでたし」でいいのだろうか?

 

DVDでは音声ガイドも聞けるのだが、あまりセリフに邪魔にならないように

入っていないようで、もっといろいろと聞いてみたいので残念。