- 作者: 上野千鶴子,湯山玲子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/10/26
- メディア: 単行本
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フェミニストの上野さんと「四十路越え」の湯山さんが3.11以降の日本や生き方
について語った対談集。
とりあえずいろいろなことを語っていたが、知識も教養も文化的素養もあり
リア充でもありと天下無敵だ。有名人の友人がいても驚かないが、
昔の同級生に有名人がいろいろといてその交友関係の豪華さに驚く。
「人間は抑圧し抜くと、抑圧に慣れる生き物だ」というのは世界中でそうなのだとか。
抑圧を生き延びるためできるだけ反応せず、間隔を遮断して省エネで生きるように
なるそうだ。これは自分に当てはめてみてもなるほどと思う。慣れてきているとはいえ
心のストレスはかかっていていつか破裂するかもしれないから気をつけねば。
あるおひとりさまの女性の最後を彼女の友人グループがみんなで支えたという話で、「女の人ってこんなに誰かのお役に立ちたいと思っているのね」と
そのグループの人が言っていたそうだが、それも共感した。
人間はみんなそうだが、女性は特にその気持ちが強いのかもしれない。
海外旅行も薦めており、アウェイの理解不能集団の中で折り合いをつける術を
意識的に手に入れるべき、利害関係のない人に親切にされるような経験を
すべきとあり、すっかり旅行ご無沙汰の私も行ってみようかという気になる。
そういえばヨーロッパでも重い荷物を持っていると当然のように誰か
手伝ってくれたし、ロンドン郊外でも地図を見ているだけでおばさんから
声を掛けられたことなど思い出した。親切にされると日本でも親切にしようと
毎回思ったことも思い出した。
彼女は法話をするために行ったわけだが、他の被災地にはなかった、
ピーンと張りつめた緊張と敵対視を感じたそうだ。そこで彼女は切り替え
「わたし、マッサージできます。体をほぐしてほしい人います?」と
おばあさんのマッサージをしたそうだ。そうしているうちにおばあさんは
ぽつりぽつりと話を始めたという。上野さんは寂聴さんの臨機応変に立派だと
感じ入ったようだが、彼女の機転の素晴らしさとともに被災地の闇を感じ
あまりこんな様子を見聞きすることはなかったので少しショックでもあった。
予測誤差で遊ぶ力があるからどんな誤差が来ても対応できると言われていた
寂聴さんは理想だ。