「僕の明日を照らして」　瀬尾まいこ

児童虐待の話を聞いていたので身構えていたが
そこは瀬尾まいこなので、優しく包む話になっていた。

中２の隼太は、母親が歯科医の優ちゃんと再婚した。
スナックで働く母をもつため、子供の頃から夜を一人で過ごし
それが嫌で仕方なかった隼太は優ちゃんがいてくれて
嬉しくて仕方がない。ところが普段とても優しい優ちゃんだが
時々突然切れては暴力を振るうようになる。

隼太は優ちゃんを失いたくないため、必死で彼を
つなぎとめようとする。自己嫌悪に苛む優ちゃんは
何度も妻に告白して家を出ようとするが
隼太はふたりで乗り越えようとあの手この手を考える。

いろいろな努力の結果、ふたりはいい方向に向かっていくのだが
最後はちょっとほろニガな結末になっているのが
優しいだけの話とは違う。
きちんと希望も持たせて終わるので救われる。

それにしても中２にもなる男の子にしては
こんなに優ちゃんに懐くのは幼く感じるが
可愛いからよしとする。
そして優ちゃんが暴力を振るうのはどんなことが
きっかけになっているのだろうかと考えた。