「年下の男の子」 五十嵐貴久

年下の男の子

年下の男の子


最近はずみでマンションまで買ってしまった37歳独身OLの晶子は
大手の銘和乳業で広報の仕事をしている。
出入りのPR業者がらみで大きなミスが起きたときに
その会社から派遣されてきた児島という23歳の男の子と一緒に
尻拭いの作業で徹夜をすることになった。
それがきっかけとなり、やたらと懐いてくる児島に晶子は戸惑うが・・


面白かったな〜。
こういった女性が大幅年上物語はunhappy endingでしっとりと
感傷だけ残すものが多いのだが、意外にもそんなことにはならず
「がんばれ〜」と応援したくなる、ガッツのある終わり方で
読後感もとてもすっきり。


この児島君という男の子がやたらと素直でまっすぐに突き進み
そして簡単にはへこたれず行動力もあるという、
恋に臆病になっている年代にはものすごいツボな性格。
冷静に自分を分析する晶子もむしろすがすがしく
途中までは彼のことはすっかりアウトオブ眼中で
すげない態度をとり続けるのだが、一度転んでしまうと
だんだんと惹かれていき戸惑う様子が可愛らしい。


でも最終的に恋愛がうまくいくかはお互いのちょっとした努力が
必要だ。片側だけががんばってうまいこといくというのはありえない。
お互いのほんのちょっとの勇気と行動力が必要なのだと再認識した。


五十嵐貴久のほかの作品も読みたくなった。