「戸板飯店青春100連発」 瀬尾まいこ

戸村飯店青春100連発

戸村飯店青春100連発


中華料理店戸板飯店の息子ふたり。
兄はかっこよく、なんでも器用にこなすちょっとおすまし。
弟はまっすぐで単純で素直。吉本が好きで店に来る常連とも
すっかり仲良しで好かれている。


弟は兄のことをあまり好きではなく、家でもほとんど
喋らない。大阪ではちょっと浮いてしまうほどのすかしっぷりに
弟から兄は見えてしまい、あまり好ましくも思っていなかったが
、小説家になるといって上京してしまった兄。
自分に店を継がせ勝手なものだと思っていたが、
高校を卒業と同時に店を継ぐことに何の疑問も持っていなかった弟に
大学進学の話が出てくる。
悩んで彼は東京の兄を訪ねて相談をする。


今までも近くて遠い、遠くて近い兄弟の関係、
そして大阪という場所とアイデンティティ。
そんな中で悩みながらそれぞれが決断をしていくという話だが
色々出てくるちいさなエピソードがなんだか可愛くて
一生懸命でとても暖かな気持ちになる。


最後に扉の著者紹介で瀬尾さんが大阪出身と知って
すごく驚いた。道理で大阪舞台のいい話。
今までの著作の感じからなんとなく山梨とか長野あたり
出身かと勝手に思っていた。(そのあたりの舞台の話があったから!?)