「知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展」 東京都写真美術館


昨日東京写真美術館にも足を伸ばす。
3つの展示場があるのだが、複数組み合わせてみる人用に
セット券も販売しており、たぶんお得になっていたと思う。

会場はいい感じに空いていてとても見やすく自分のペースで
いけるのでよかった。

ジャコメッリは日曜日美術館で紹介されてから興味を持って
行くことにしたのだが、これも紫禁城もとても面白い。


ジャコメッリの作品は白黒の特徴を最大限に生かした写真だ。
そしてイタリアの小さな田舎の村で一生を暮らしたという彼だが
どうしてイタリアという国にはセンチメンタリズムを感じるのだろうか?
映っている写真の人物や風景はイタリアのものだが、哀愁を含んだ
なんだか懐かしいような、胸を締め付けられるような切なさを感じる。
他のヨーロッパやアメリカではあまり感じられない何かがこの国にはある。
スペインにも近いものはあるのだが、あの国は光が強すぎてそのため
影も強くなりコントラストがすごすぎてつらくなる。


トスカーナの風景のようななだらかな丘陵を描く風景写真が何枚かあったが
まるでデッサン画のようだった。


初期の作品群も静物はあまり面白くなかったが人物には俄然魅力があり
人を捕らえる確かな目があるのだと伺わせる。


作品のタイトルは詩から取っているらしく、秀逸で美しい。
「この憶い出をきみに伝えん」「夜が心を洗い流す」
「私には自分の眼を愛撫する手が無い」「死が訪れて君の眼に取って代わるだろう」
などなど彼の作品に詩と音楽を添えている。


「ルルド」にはたくさんの病人がお参りする姿を映しているのだが
今でもルルド詣でたくさんの人がしているのだろうか?