芥川賞受賞作品で図書館で借りたがあっというまに読むことができた。
震災にまつわる話ではあるのだが、派手な事件が起こるというよりも
日常の延長の震災という感じでむしろそれがリアルではある。
文章が装飾的で難しい漢字も多用されておりルビがなくて読めないものもあった。
主人公は医薬品会社に勤めており、釣り仲間だった日浅との釣りの日常から
彼が退社して以来疎遠になり、震災後行方不明になった日浅を探す。
読者は話が進むにつれ日浅の影の顔のようなものを知らされていく。
2人で楽しく釣りをしているころに「彼は生まれてくる時代を間違えたように
みえる」という感想を主人公は抱く。江戸時代に生まれていたら磯に小舟を
浮かべて海岸線を計測したり云々。
彼は浮世離れしているようでも、実は誰よりもしたたかであるようでもあり
つかみどころなく感じるが、時代を間違えたというのはすごく印象に残った。
出てくる小物やおつまみなどがいちいちおしゃれで
ただのリーマンではないと感じさせる主人公なのがゲイを感じた。