「影法師」 百田尚樹

 

影法師 (講談社文庫)

影法師 (講談社文庫)

 

 下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は非業の死をとげた

幼馴なじみ彦四朗の訃報を聞く。彼は文武両道でなにより性格がよく

欠点のない男だったが、すっかり落ちぶれはてて・・・

 

この話は私の好物な展開の話だった。

彦四朗は非の打ちどころがなく、性格もよく、誰からも一目置かれる。

勘一も優秀だったが、下級武士の子であり、さらに父親の死に方などのため

次々と難題が降りかかる。だが心が強く思ったことを突き通す力があり

努力も怠らずだんだんと日の目を浴びてくる。

彦四朗とともに順調に出世するかに見えたが、彦四朗は突然藩を逐電する。

 

きっと彦四朗の行動には裏があるのだろうと思わせる展開だが

案の定涙、涙の展開が待っている。

彦四朗の家で下女として働いていた美少女を勘一は妻として迎え

その後は幸せに暮らしていくのだが、もともと彦四朗と彼女の間にも

何かの情があったのではないか。

彼女の幸せのためにとことん裏で尽くしたのかと思ったが

そんなメロドラマではなかったのもよかった。

映画化されたら見てみたいな。

 

百田さんの作品はこれが初めてだったので、他も時代物なのかと思ったら

意外に商業作品らしいラインナップ。

興味を持ったので他も読んでみたい。