とても興味深く面白く読んだ。
村上龍といえばセックス、ドラッグ、暴力って感じの話と思いがちだが、
この本はどのエピソードもごく普通の地味な人々の話で
じーんとしたり、ほろっとしたり、いい話が詰まっている。
定年後は自由に生きたい妻と一緒に何かしたいと思っている夫、
まるで家具のようになんでもない空気のような存在。
お互いの思いがすれ違ったりしても、小さな事件が起きても、なんとなく続いていく
新しい明日に希望が持てるように終わる物語たちだ。
ホームレスに成り果て病気も持っている男が旧友と出会い、彼のおかげで再婚した
母に会いに行く話も切なくて心に残った話だった。
それでも生きていかなくてはならないからね。