「55歳からのハローワーク」 村上龍

 

55歳からのハローライフ

55歳からのハローライフ

 

とても興味深く面白く読んだ。

 

村上龍といえばセックス、ドラッグ、暴力って感じの話と思いがちだが、

この本はどのエピソードもごく普通の地味な人々の話で

じーんとしたり、ほろっとしたり、いい話が詰まっている。

定年後は自由に生きたい妻と一緒に何かしたいと思っている夫、

まるで家具のようになんでもない空気のような存在。

お互いの思いがすれ違ったりしても、小さな事件が起きても、なんとなく続いていく

新しい明日に希望が持てるように終わる物語たちだ。

ホームレスに成り果て病気も持っている男が旧友と出会い、彼のおかげで再婚した

母に会いに行く話も切なくて心に残った話だった。

それでも生きていかなくてはならないからね。