フランスの 画家にまつわる美しい短編が4つ。
知的好奇心を刺激するとても面白い作品だった。
ドガの画商と友人でもあり理解者のマダム・カサットが、亡くなったドガの
遺品の作品を目に回想する「エトワール」
セザンヌと交流のあった画材屋のおやじ「タンギ―爺さん」
オランジェリーに睡蓮にまつわる話「ジヴェルニーの食卓」
その中でも特に私が気に入ったのは、マティスとピカソの友情を
家政婦の女性の視線で描く「うつくしい墓」だ。
もともとは美術コレクターのマダムのところで家政婦をしていた女性が
縁あってマティスの家で働くことになる。読んでいると南仏の明るい陽射しに
はえる美しい赤のマティス美術館を思い出す。
マティスとピカソの友情にも興味を持ち参考文献を読みたくなった。
どのお話もおしゃれで、でもほろ苦くどの話も素晴らしかった。
タンギー爺さんではゴッホも出てくるのだが、弟のテモも出てきて
「さよならソルシエ」というゴッホ兄弟の漫画を思い出してにやり。