永遠をさがしに 原田マハ

永遠をさがしに

永遠をさがしに

「楽園のカンバス」以来、がぜん興味を持った原田マハ

 

今回の作品は有名指揮者で留守がちな父を持つ高校生和音。

チェリストだった母は和音にもチェロをやってもらいたがっていたが

和音はチェロから離れていき、母も家を出て行ってしまった。

母が家を出る前に飼っていたトワと名付けたカナリアが逃げてしまった。

トワとはフランス語であなたという意味、日本語では永遠だと教えてくれたが

その意味が幼い和音にはまだわからない。

父がボストンで指揮をすることになり、一緒に行くことを拒んだ和音のもとに

新しいお母さんが唐突にやってきた。彼女はずうずうしく破天荒で和音の

生活のペースはすっかりかき乱され・・

 

ずっとチェロが低音で流れているような小説だ。

出てくる人々がみんないい人で、悲しいことが次々起きてもなんとか明るく

進む道を切り開き希望を持たせる。

人気指揮者の父親はおば様方から奏様と呼ばれていたり、突然やってきた再婚相手

真弓もがさつな印象だが、深い音楽知識を持ち思いやりのある大人で、

みんな個性的だ。

 

父親に愛想を尽かしてでていったかと思っていた母には秘密があり、

真弓にも秘密があり、少しづつそれがほどかれ、それを知っていきながら

和音は大人になり、自分のチェロへの思いや使命を感じて前向きに終わるので

救われた。