「楽園のカンヴァス」 原田マハ

楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

大原美術館の監視員、織江のもとに日本で開催を予定しているルソーの展覧会の

交渉係になってほしいという要請が来る。彼女を指名してきたのは、NYの

メトロポリタン美術館のチーフキュレーターとのこと。

しがない監視員の彼女を世界的に有名なキュレーターが指名してきたのはなぜか?

 

この本は実に面白く楽しめた。

ルソーの絵がテーマになっており、以前は好きではなかったルソーが最近は

面白く感じていた私の興味を一層引いたし、彼が成功を享受した画家でなく、

むしろ不遇であったというのも意外だったし、親近感を抱く。

彼の絵は一見稚拙というか、子供の絵のようというか、そういう批判を当時もされたというので、最初から価値が認められたのではないと驚く。

その割にはピカソは早々に認められており、その点は意外なのだが。

 

織江が実は昔ルソー研究家として活躍しており、そんなに一線で活躍していた人が

田舎に引っこみひっそりと生きられるものかと思ったが、最後は報われ読後感もいい。

 

ところでこの本の話はどの程度創作なのだろうか?

最後に協力バイエラー財団など、本の中の財団に似た財団も出てきている。

実に本当らしい内容だ。

織江がテートのチーフキュレーターと不倫をして生んだ娘が将来どんな道に進むのかそれも楽しみで、その話も原田さんに書いてほしい。