- 作者: 原田マハ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/01/20
- メディア: ハードカバー
- 購入: 2人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (59件) を見る
大原美術館の監視員、織江のもとに日本で開催を予定しているルソーの展覧会の
交渉係になってほしいという要請が来る。彼女を指名してきたのは、NYの
メトロポリタン美術館のチーフキュレーターとのこと。
しがない監視員の彼女を世界的に有名なキュレーターが指名してきたのはなぜか?
この本は実に面白く楽しめた。
ルソーの絵がテーマになっており、以前は好きではなかったルソーが最近は
面白く感じていた私の興味を一層引いたし、彼が成功を享受した画家でなく、
むしろ不遇であったというのも意外だったし、親近感を抱く。
彼の絵は一見稚拙というか、子供の絵のようというか、そういう批判を当時もされたというので、最初から価値が認められたのではないと驚く。
その割にはピカソは早々に認められており、その点は意外なのだが。
織江が実は昔ルソー研究家として活躍しており、そんなに一線で活躍していた人が
田舎に引っこみひっそりと生きられるものかと思ったが、最後は報われ読後感もいい。
ところでこの本の話はどの程度創作なのだろうか?
最後に協力バイエラー財団など、本の中の財団に似た財団も出てきている。
実に本当らしい内容だ。
織江がテートのチーフキュレーターと不倫をして生んだ娘が将来どんな道に進むのかそれも楽しみで、その話も原田さんに書いてほしい。