「太陽は動かない」　吉田修一

表向きはアジアの小さな文化ニュースだどをネット配信する小さな通信社に働く鷹野と田岡だが、本来は企業スパイのようなことをして情報を売ることだった。
国家を挙げての大きなエネルギー事業、それにからむ大きな利益に群がる企業や暗躍する謎の女性AYAKOのだまし騙されの話が展開する。

雑技団の団長が裏の情報屋だったり、一年生議員の人脈を使ったり、新しい技術を開発した博士の娘を誘惑して、親を繰ろうとしたり。

敵対する外国の企業に技術を売るということは国家が成熟してくるほど普通にあり得ると思えた。
特に日本の場合は研究成果に見合う報酬や待遇がなさそうだし。

一年生議員の五十嵐が正義感のある、真面目で頼りない青年で好感が持てる。おっとりとした性格でかわいげがある。今回の一番のお気に入りだ。

スパイ合戦も最後にちょっとしたどんでん返しもあり面白かった。