「ロマンス」 柳広司

ロマンス

ロマンス


祖母がロシア人という血のせいで華族社会でアウトロー的に生きる清彬。
彼の唯一の親友で軍人の嘉人が、殺人事件に巻き込まれた。
昭和8年の軍国主義に向かっていく日本で、それぞれの立場で
自分の生き方に疑問を感じながら生きていくが・・


殺人事件の謎に挑みながら、その時代の空気感を描き、
ミステリーのような、ロマンス小説のような
(タイトル通りロマンスの話でもあるので)
嘉人の美しい妹、万里子が後半存在感を増していく。


途中、清彬が突然あることを思いつき、それを実行しようと
唐突に決断するのだが、あまりに突然で突飛なので
読んでいてびっくり。
どんなふうに話が展開するのかハラハラし
吉田修一の「パレード」を思い出したが、そんな展開にならずに安心。